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「お待たせー」  摩耶と若葉の向かいの席に座ると、摩耶が「あ! 噂の流生くん? 初めましてえ」と頭を下げた。鼻にかかるような声と喋り方は、ますます若葉とは違う。 「初めまして。摩耶ちゃんて呼んでいい?」 「全然おっけー! 流生くんはあ、若葉のお」 「友達」  摩耶の言葉を若葉が強めに遮った。顔に出ないように注意しながら、流生は落ち込んだ。わざわざそんなに強調しなくてもいいのに。 「ってことは、摩耶のお友達。よろしくねえ」  それぞれ飲み物と軽食を注文し、摩耶の源氏名が「まあや」であるという話と、摩耶の客の面白エピソードを聞いて空気が和んだあたりで、息を切らした誠二が到着した。 「すまない。遅れた」  誠二の渾身の謝罪に、摩耶がけらけら笑う。 「すまない、だってえ。超古風。最高なんですけどお」  誠二は何故笑われたのか理解が出来ないようで、目を丸くして流生を見た。 「これは、喜ばれてるのか?」 「多分、最高評価っすね」 「そうか。どうもありがとう」  誠二は頭を下げながら流生の隣に座った。 「藤原さん、初めまして。山吹若葉です。こちらは」 「摩耶です! まやか、まあって呼んで。もちろん敬語はナシで」  若葉の言葉を、摩耶が引き継いだ。誠二は「どうも」と頭を下げた。 「藤原です。今日はありがとうございます」 「あはははははは」  摩耶が腹を抱えて笑う。 「だから敬語じゃなくていいのに。藤原さん最高! 超真面目って感じだね」 「それは、どうも」 「なんでも聞いて! 摩耶、藤原さんに全面協力しちゃうから!」  摩耶の横で、若葉も笑いながら誠二を見ている。流生はタブレットで誠二の烏龍茶を注文した。
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