21人が本棚に入れています
本棚に追加
/141ページ
「お待たせー」
摩耶と若葉の向かいの席に座ると、摩耶が「あ! 噂の流生くん? 初めましてえ」と頭を下げた。鼻にかかるような声と喋り方は、ますます若葉とは違う。
「初めまして。摩耶ちゃんて呼んでいい?」
「全然おっけー! 流生くんはあ、若葉のお」
「友達」
摩耶の言葉を若葉が強めに遮った。顔に出ないように注意しながら、流生は落ち込んだ。わざわざそんなに強調しなくてもいいのに。
「ってことは、摩耶のお友達。よろしくねえ」
それぞれ飲み物と軽食を注文し、摩耶の源氏名が「まあや」であるという話と、摩耶の客の面白エピソードを聞いて空気が和んだあたりで、息を切らした誠二が到着した。
「すまない。遅れた」
誠二の渾身の謝罪に、摩耶がけらけら笑う。
「すまない、だってえ。超古風。最高なんですけどお」
誠二は何故笑われたのか理解が出来ないようで、目を丸くして流生を見た。
「これは、喜ばれてるのか?」
「多分、最高評価っすね」
「そうか。どうもありがとう」
誠二は頭を下げながら流生の隣に座った。
「藤原さん、初めまして。山吹若葉です。こちらは」
「摩耶です! まやか、まあって呼んで。もちろん敬語はナシで」
若葉の言葉を、摩耶が引き継いだ。誠二は「どうも」と頭を下げた。
「藤原です。今日はありがとうございます」
「あはははははは」
摩耶が腹を抱えて笑う。
「だから敬語じゃなくていいのに。藤原さん最高! 超真面目って感じだね」
「それは、どうも」
「なんでも聞いて! 摩耶、藤原さんに全面協力しちゃうから!」
摩耶の横で、若葉も笑いながら誠二を見ている。流生はタブレットで誠二の烏龍茶を注文した。
最初のコメントを投稿しよう!