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「ていうか」  摩耶が首を傾げた。 「沙智さんがどうかしたの?」 「亡くなったんだ」  誠二の口から言わせるのは酷かと思い、流生が口を挟んだ。若葉は伝えていなかったらしい。俯いて口を堅く結んでいる。 「え」  摩耶は誠二を見た。誠二は「ああ」と頷く。 「まだ信じられないけど」 「病気? そういえば沙智さん、薬良く飲んでたよね」 「そうなんすか?」  流生が問うと、誠二は頷いた。 「片頭痛を持ってるとかで、痛み止めをしょっちゅう飲んでた。そんなに薬に頼るのは良くないって言ったんだけど、痛いと何も出来なくなるらしくて」 「あ、じゃあ薬は関係ないの?」 「うん」  若葉が顔を上げ、摩耶に耳打ちする。 「え。あ、そうなんだ」  摩耶の声が小さくなる。それからぽつりと「可哀想」と呟いた。残された誠二に対しての言葉なのか、亡くなった藍に対しての言葉なのか。流生には分からない。 「でも、摩耶、あんまり力になってあげられないと思うよ。さっきも言ったけど、沙智さんとあんまり仲良くなかったから。正直詳しく知らないって言うか」 「仲良かった子もいなかった?」 「多分、連絡先知ってる子いないと思う」  摩耶は困った顔をしている。 「そっかあ」  連絡先が分からないのなら、仕方がない。流生は話題を変えた。
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