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「最後に見たのって、二か月前なんだよね」
「あ。違うかも。十二月の、クリスマス、はいなかったなあ。その前くらい?」
「そうなんだ。じゃあ年末は?」
「見てない。一月は一回も出勤してないかも」
「なんか、覚えてることとかある?」
「普通だったよ。ていうかいつも、あ、出勤してるなーくらいしか印象なくて。いつも通りって感じだったと思うけどなあ」
摩耶は首を傾げている。
「あんまり力になれなくてごめんねえ」
眉をハの字にして、摩耶が頭を下げた。
「いやいや。全然だよ。ね。藤原さん」
誠二は流生がふいに声をかけたので驚いたらしかった。はっとして、すぐに「感謝しかない」と頭を下げた。
「ねえ、摩耶、あんまり関係ないかもしれないけどさ」
摩耶は誠二の方を向き、微笑んだ。
「頑張ってね。応援してる」
「ありがとう」
そう言った誠二の顔には笑顔が浮かんでいた。穏やかな笑みだというのに、流生はその顔を見て、何故か心がざわついた。
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