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「お待たせ」  待ち合わせ時間より少し早くコンビニの前に現れた佐藤は、息を切らしていた。 「別にそんなに急がなくても良かったのに」と流生が言うと、「少しでも早く会いたかったから」と腕を絡めてきた。振りほどくわけにもいかず「じゃあ、行こうか」と歩き出した。目的地は、すぐそこにあるラブホテルだ。  深夜のファミレスから帰宅し、昼まで寝て過ごし、佐藤に連絡をした。佐藤が「すぐに会いたい」と言うので、会うことにした。一人でいるともやもやと嫌なことばかり考えてしまうので、流生にとっても丁度良かった。  空室の中から出来るだけ簡素な部屋を選び、腕に胸を押し当ててくる佐藤を引きずるように部屋に入った。佐藤は部屋に入った瞬間流生の顔に自身の顔を近付けた。その唇を受け止め、適度なタイミングで佐藤の口の中に自身の舌を入れた。ねっとりとした温かい佐藤の口の中を、自身の舌で犯していく。  顔を離すと、もう佐藤は肩で息をしていた。 「嬉しい」と笑う佐藤の顔はちっとも可愛いと思えなかったが、胸はそれなりに出ているようだし、体形にも特に不満はない。流生は「これからだよ」と唇の端を上げ、佐藤をベッドに誘った。  佐藤は献身的に流生に尽くした。流生の身体を丁寧に愛撫し、性器を口に含み、流生を上目遣いで見る。流生も期待に応え、滑らかな佐藤の肌に手を滑らせる。  途中、流生の声が好きと言っていたのを思い出し、何度か耳元で囁く。佐藤は目を潤ませて蕩けた顔つきになり、一層流生に身体を絡ませた。流生も期待に応えて腰を振り、二人で行為に没頭した。最後は絞り出すような感覚で射精をした。もう無理だ。ベッドの上で両手両足を投げ出し、大の字に寝転がった。身体はべたべたするけれど、シャワーを浴びる気力がない。気怠い疲れが指の先まで支配している。頭の芯まで痺れるような、心地良い疲労感だった。
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