19人が本棚に入れています
本棚に追加
今夜の君と今宵の月
ベンチに座り、スポーツドリンクを
飲み干す彼女は、
額から流れる汗をタオルで拭う。
それは、毎晩、毎晩繰り返される彼女の日課。
時には、嬉しそうに、
そして、時には悔しそうに……
今夜も舞い続ける彼女を僕は、
そっと優しく見つめる。
「今夜の月は、一段と光を放ってるな……」
彼女は月を見上げながらそう呟くと、
軽やかに足をクロスさせ、再び踊り始める。
月から放たれる光がその後姿を追う。
まるで彼女に優しく触れるように、
そして、アスファルトに彼女の影を映し出した。
映し出された『自分の影』を確認する彼女は、
軽やかなステップで、しなやかに動き続ける。
舞い続ける彼女を追って、月も光を放ち続ける。
最初のコメントを投稿しよう!