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一刀両断
真夏二歳の誕生日。お祝いのバースデーケーキは真夏が大好きなミッフィーの顔を中心に、いちごで可愛らしく飾られていた。キャンドルは二本、真夏は顔を真っ赤にしてその炎を吹き消した。
「真夏、お誕生日おめでとう!」
「おめっとー!」
「いやはや、早かったなぁ、あっという間だったぞ」
「お義父さん、いつもありがとうございます」
と、そこまでは良かった。
バースデーケーキの上には白い顔、耳、視点が定まらない黒い目、無口なバッテンがあった。ナイフを握っていた竹村の手が止まった。
「は、隼人、おまえがヤれ」
「私がですか」
竹村は銀色のナイフを隼人に押し付けた。
「い、いや、ここは真夏の面倒を見て下さっているお義父さんが!」
「いや!ここは父親であるおまえが!」
押し問答が続く。
真昼は悶々としていた。
「とうっ!」
真昼が握ったナイフはミッフィーの顔を一刀両断、真っ二つにした。
「ま、真昼」
「真昼さん」
真昼の鼻息は荒かった。ここしばらく隼人との夜の営みがなく悶々としている。そこで欲求不満を一刀両断「ま、真昼さん?」隼人の顔を睨み付けた。
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