一刀両断

1/1
前へ
/36ページ
次へ

一刀両断

 真夏二歳の誕生日。お祝いのバースデーケーキは真夏が大好きなミッフィーの顔を中心に、いちごで可愛らしく飾られていた。キャンドルは二本、真夏は顔を真っ赤にしてその炎を吹き消した。 3108e372-a1e1-4856-b32c-abccdcc7d890 「真夏、お誕生日おめでとう!」 「おめっとー!」 「いやはや、早かったなぁ、あっという間だったぞ」 「お義父さん、いつもありがとうございます」  と、そこまでは良かった。  バースデーケーキの上には白い顔、耳、視点が定まらない黒い目、無口なバッテンがあった。ナイフを握っていた竹村の手が止まった。 「は、隼人、おまえがヤれ」 「私がですか」  竹村は銀色のナイフを隼人に押し付けた。 「い、いや、ここは真夏の面倒を見て下さっているお義父さんが!」 「いや!ここは父親であるおまえが!」  押し問答が続く。  真昼は悶々としていた。  「とうっ!」  真昼が握ったナイフはミッフィーの顔を一刀両断、真っ二つにした。 「ま、真昼」 「真昼さん」  真昼の鼻息は荒かった。ここしばらく隼人との夜の営みがなく悶々としている。そこで欲求不満を一刀両断「ま、真昼さん?」隼人の顔を睨み付けた。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

927人が本棚に入れています
本棚に追加