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「ねぇ、白い紳士さん。いつになったら願いは叶うのかしらね?」
特別な夜に、特別な別荘で、特別なロゼを飲みながら白いウサギに問いかける。
もちろん答えなど帰ってくるはずもなく、敷いたブランケットの上に寝転がる。
大きな月が煌々と夜空にその存在を示す。
両手で誰かの頬を包むように遠くの月に手を伸ばす。
「あなたはいつ現れるの?」
儀式を初めて早1年。
癒やしの時間にはなっているけれども本来の目的、素敵な恋人には出会えないでいた。
「…………はぁ。もうダメかしらね?あなたたちが私の紳士なのかしら。」
ネグリジェの裾がめくり上がるのも気にせずゴロゴロと転がり、紳士ウサギの鼻をちょんとつつく。
ロゼも半分を飲み進めた頃、ほどよい浮遊感が意識を包み始める。
「それもいっか……。」
ちょうどいい気温と月の光にそっと目を閉じる。
優しい虫の音とそよ風に包まれる。
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