化ける舞台

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化ける舞台

 文化祭の舞台に立つために、衣装を着てメイクをする。  こうやって姿を整えて舞台に立つと、まるでなにかに憑かれたように化けるとよく言われる。  私は、自分の役に化けているのだろうか。演じているのではなく?  そんな思いを抱えていると緞帳が上がる。舞台の真ん中に立つ私にスポットライトが当たる。その瞬間意識が切り替わった。  気がつけば舞台は終わりカーテンコール。舞台の間の記憶が曖昧で、やはり私は化けていたのだろうか。  少しぼんやりしながら他の役者と観客にお辞儀をすると、拍手が巻き起こった。  顔を上げて観客席を見渡すと、拍手をしていた観客のうち何人かの姿が崩れて跡形もなく消え去る。  いったいなにが人に化けていたのだろう。
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