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『うわっ…!またかよ…‼︎』
僕は、驚いて声を上げてしまった。また今日も出たのだ。去年不慮の事故で、死んでしまった幼なじみ(女子)が幽霊に化けて。そして彼女は、やはり今日も何故かモジモジと照れているのだ…。
『お、おい…!いつもいつも…、何なんだよ…!』
僕は、今日もたまらず彼女に言ってやった。だが、彼女は、今日も頬を赤ながら、モジモジしているだけなのだ。僕は、こんな彼女の姿を彼女が生きていた頃には、見た事がないので、いつもタジタジしてしまう。そして、どうやら幽霊は、喋れないようである…。
『ったく…、いい加減にしろよ…!」
僕は、クルッと180度向き直って、彼女から視線を外した。正直言うと、恥ずかしいのだ。彼女が死んだ時、僕だってかなりショックだったし、今でもその傷が癒えたわけではない。何か心にポカンと穴が空いているような状態だ。僕は、彼女の事をただの幼なじみだと思っていただけに、今更余計に意識してしまっているのかもしれない…。
彼女と僕は、物心ついた頃から、一緒に遊んでいた。入学式や卒業式などの行事ごとや、地域のイベント事は、いつも一緒で、言ってみれば、仲のいい異性の友達だ。だから僕は、彼女が生きていた頃、彼女の事を“女”としてなんか見た事など、一度も無かったのだ。
だが、どうだ。そう思っていたのは、僕だけだったのだ…。
彼女は、死んでしまってからというもの、僕の前に頻繁に現れては、モジモジと顔を赤らめながら、僕の方をジーッと見つめてくるではないか…!僕は、いつしかそんな彼女の事が…、クソッ…!今まで僕には、見せた事のない顔をしやがって…!クソッ…!か、可愛い…。
僕は、認めたく無いが彼女が死んで、化けてまで僕の前に現るようなり、僕への気持ちを知ってからは、どんどん彼女の事が、好きになっていくのだ…!クソッ…!こんな事なら、彼女が生きている内に、もっと自分の気持ちに正直に…、クソッー…‼︎
少年は、今日も顔を赤らめて自責の念に駆られている。すると少女は、再び少年の顔の前に現れて、モジモジと見つめてくる。
『うわっ…!クソッ…!いきなり出てくんなよ…!』
少年は、今日も顔を真っ赤にして、彼女の前から走って逃げていってしまったのであった…。
『あー!ちょっと、待ちなさいよー!あーあー、また逃げやがったなー!全く、こんなに可愛い幼なじみの顔が見られるんだから、少しは大人しくしてろっつーの!
…。って言っても、アイツ、勘違いしてるんだよなー…。アイツは、最近私を強烈に意識し始めて、舞い上がっているのだが、一つ確かな事として、私は生涯、そして死んでからも、アイツを異性として意識した事は、一度も1ミリも無いのですよ。断言します!
えっ、じゃあ何で幽霊に化けてまで頻繁にアイツの前に現れては、モジモジしながらアイツの事を見つめてるのかって?
それは、だっていつもアイツの後ろに居るアイツの守護霊さんが、私の超タイプだからですよ♡』終
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