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ブックカバーの感触を確かめて
松浦さんに会いたいな。あの穏やかな声で「高橋さん」と呼ばれたいな。これってもう恋じゃん。お休みするはずだったのに。
でも、松浦さんはいい人だ。
図鑑にかけられたクラフト紙のカバーにはロゴが入っている。検索したら東京の小さな書店だった。松浦さんは、きっとそこで働いているんだ。
あの庭は、仙台と東京を繋いでいた。松浦さんが薄着だったのは、本当に気候が違ったから。
会いに行っても、いいのかな。
その2時間後、くるみは新幹線に乗っていた。植物図鑑を大切に両手で包む。
片想いかもしれない。
松浦さんから会いに来てくれないんだから。
私の片想いだって覚悟を決めないと。
でも、確かめなきゃずっと苦しいままだから。
外は小雨で、車窓を斜めに雨粒が横切る。暗く垂れ込めた空は、くるみの不安な心のようだった。
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