二度目の遭遇

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 枯葉がかさっと音を立てた。くるみが目線を上げると、そこには昨日の男性がいた。  男性はくるみの視線に気づいて、軽く頭を下げて斜め向かいのベンチに座った。男性の表情は優しかった。くるみも慌てて会釈を返す。  いつもきちんとしてるなぁ。くるみは男性のことを考える。今日のワイシャツは薄いブルーで、濃いグレーのブルゾンを羽織っている。  寒くないのかな? くるみもブルゾンを着ているが、内綿が入っているし、ジッパーも上まで閉めている。あの人は今日も羽織りの前を開けている。細身なのに暑がりなんだろうか。まるであの人の周りだけ気候が違うみたいだ。  手を合わせて「ごちそうさま」をして、合わせた手を寒い寒いとすり合わせる。今日は特に寒いから、くるみはさっさと引き上げることにする。  荷物をまとめて、腕をさすりながら庭を出る。その一瞬、男性に不思議そうな目を向けられていた気がした。
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