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と、じっと犬飛くんを見つめながら勝手に想像の翼を広げていたら、犬飛くんがさすがに私の視線に気づいてしまったようだった。
「?」
犬飛くん、首を傾げる。
私はあわてて目をそらした。でもやっぱり気になるので、犬飛くんの黒い筒に視線が行ってしまう。
「!」
すると、犬飛くんは肩にかけているヒモをぎゅっと握った。まるで、「これは拙者の秘密でござる」そう考えているかのようだった。
了解つかまつりもうしたでござる!
私は心の中で、私なりの忍者ことばでそう答えた。
犬飛くんの秘密、拙者も墓場まで持って行く所存にござる……!
……それなのに。
何やってんの、犬飛くん。
六時限目のホームルーム。黒板に犬飛くんが書いた文字に、私は唖然とした。
忍
犬飛くんは、そう書いたのだ。自らの手で。
「と、いうわけで。今度の文化祭。私たちのクラスは、忍者をモチーフにした脱出ゲームにしようと思います!」
犬飛くんと学級委員をやっている櫻井さんが、そう言った。
「必要な小道具とかは、犬飛くんが得意なので犬飛くんを中心にやっていきたいと思います」
えっ……。
私は思った。
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