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と、小声で言った。
「阿部さん、何か大声で叫んでたでしょ。変な言葉。それで目が覚めたんだ」
「ああ……」
それは私の呪文だな。ということは、櫻井さんが「影」に操られて何か言ったことは、覚えてないのかもしれない。私はある意味安心した。
「何であそこで倒れてたの? 櫻井さんと」
「分かんない。実は櫻井さんと、早めに集まることになってて。教室に入ったら、いきなり目の前が真っ暗になった感じで。何だったんだろう。あれ」
「ん〜……」
私はためらったけれど、思い切って聞いてみることにした。
「私も気になることがあるの。犬飛くん、何で黒い筒を守っていたの?」
「へ? 筒?」
「犬飛くんが、いつも肌身離さず持ってる筒だよ。あの、黒い筒」
「あ、あれ?」
「私思ったんだけど……犬飛くんって、ほんとは、忍者なんだよねっ?」
「え、は?」
「それで、あの中に大切なものを入れてるんじゃない? 何か、忍者に必要な、布とか……」
「待って。「忍者」って、何?」
「それは、その、え? 犬飛くんって、忍者なんじゃないの?」
ナンジャモンジャ。
それで、私の大勘違いが発覚したのだ。
「違う、違う!」
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