シノビ!

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 そう考えると、ちょっとおしゃれな大学生とかが持ってそうなあの黒い筒も、何かしらの小道具に見えてきてしまうのでござる。金ボタンに黒い学ラン、そして背中に黒い筒。忍者っぽい。忍者っぽすぎる。どう見ても、忍者にしか見えない。  あの筒の中には、人の目をくらます煙とか何かしらの、何だろう、布とか? そういうのが入っているに違いない。絶対そうだ。そうに決まってる。やばい、もうそうとしか思えなくなってきた。  ていうかそもそも、名字に「飛」が入っていること自体が忍者っぽいのだ。絶対何かしら「飛ぶ」ことを生業にしてきた家系の名字に違いない。「名字」というものが生まれた頃、平安時代江戸時代明治時代、この国に飛行機なんかなかった時代に「飛ぶ」といえば、忍者しかない。ありえない。  つまり、犬飛くん一家は、忍者なのだ。犬飛くんの家にはひいひいおじいちゃんくらいまでがいて、ひっそりと一族で暮らしてるんだ。それでひいひいおじいちゃんとかと「ござる」とか「ござらぬ」とか普通に言い合いながら、忍法とかを教えてもらったりしてるんだ。  うん、きっとそう。そうに違いない……。
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