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犬飛くん、「忍者が得意」とか言っちゃってる……!
いいの? やばくない? ばれてない? 犬飛くんが忍者だってこと!
「あ〜、じゃあ、犬飛くん、手裏剣作っといてよ」
「いいよ」
「あれは? くさりがま」
「どーかなぁ。うまく再現できるかなぁ」
さ!
さささ「再現」て!
あたかも「本物」をよーく知っているみたいじゃない!
何やってんの、犬飛くん!
みんなが解散したタイミングで、私はすすすっ、と、犬飛くんに接近した。
「あのね、犬飛くん」
「ん? 何?」
「木、色、木、色、水、赤……」
「え、何々っ、ちょっと」
犬飛くんはおののいて、私を教室のはしっこに連れて行った。
「阿部さん、何を言ってるの」
「え、だから。木、色……」
「だっだから、何なの。それ」
「何って……」
犬飛くんこそ、どうしたの。分かんないの?
これはほかでもない、忍者が暗号として使うという「忍者いろは」だ。ネットで適当に調べた忍者いろはを使って、私は犬飛くんに、いいの? と問いかけたのだ。いいの? こんな公の場で忍者の話なんかして、いいの? と。
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