最終話 誓い

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次の日、私は居ても立っても居られなくて、 やっちゃんの着替えを持って、病院へ急いだ。 病院に着いて真っ先に、病室へ向かった。 (もう、目覚ましたかな…。) 病室の前に行くと何やら慌てた様子の看護師さん達が出入りしていた。 「あっ、あの!何かあったんですか?」 「あっ、あなた後藤さんの彼女さん。  後藤さんの意識が戻ったんですが、  高熱のせいで痙攣を起こしていて…。 申し訳ありませんが、今は面会出来る  状態ではないんです。  なので、またこちらからご連絡しますので、  後日来ていただけますか?」 「えっ?熱ですか?  手術は成功したんじゃ…。」 「はい…。ですが、原因不明の熱で…。 とにかく、今先生が処置してますので… 申し訳ありませんが、今日はお帰り  下さい。」 「…助かりますよね…。  どうか…絶対…助けて下さい…。 お願いします…。」 私はやっちゃんの事が心配で家に帰りたく なかった。でも、私に出来ることなんて何も なくて、情けなくて苦しかった。 (やっちゃん…。早く元気になって…。 早く家に帰って来て…。 やっちゃんに会いたい…。 早く、会いたいよ…。) それから、また一日が過ぎた。 私はしばらくぶりに職場に復帰した。 やっちゃんの事が心配だったが、 これ以上職場に迷惑はかけられなくて、 出勤した。 職場に行くと、皆んなが心配してくれた。 「山内先生…立て続けに大変だったわね…。  後藤先生は大丈夫なの?  まだ、意識は戻らないの?」 「それが…。昨日病院行ったら熱のせいで  痙攣を起こしたみたいで…。  面会謝絶だったんですよ…。 だから、私も様子分からなくて…。」 「そうだったの…。 それは心配ね…。  あなたも、無理しないでね。」 「あっ、はい。  ありがとうございます。」 私は久しぶりに自分のクラスへ向かった。 私が休んでいる間は、聖子先生が私の クラスをみていてくれたようだった。 (久しぶり過ぎて、緊張してきたな…。) クラスへ行くと聖子先生と子供達が 待っていてくれた。 「一葉先生、お帰りなさい!」 「わぁ!皆んな!会いたかったよ!」 子供達は皆んな笑顔で出迎えてくれた。 黒板には私へのメッセージが書かれて いて、私はすごく嬉しく思わず泣いて しまった。 子供達が一人一人、折り紙で作った 手紙を渡してくれた。 素敵なサプライズだった。 「皆んな…ありがとう…。 最高のサプライズです。  先生…すごく嬉しいです。  皆んなのお陰ですごく元気もらえたよ!  本当にありがとう。」 私は改めて、この仕事を選んで良かったと思えた。元々子供が大好きだったけど、今回の事でまた大好きになった。 子供のパワーは本当に偉大だと思う。 そこに居るだけで、幸せな気持ちにさせて くれる。 私は本当に幸せな気持ちでいっぱいだった。  
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