アナザー・イリュージョンワールド

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アナザー・イリュージョンワールド

僕の名前は進川始(しんかわはじめ)という。大阪府内に住むごく平凡な会社員だ。年齢は二十八歳で、悲しいかな彼女は生まれてこのかたいたことはない。 趣味はゲームをしたり、アニメを見たりすること。いわゆるオタクである。 ある日の休日、僕は暇をもてあましていた。 時間をつぶすためにスマートフォンをいじる。何か面白そうなソシャゲはないかなといろいろ探す。 そうしているうちに一つのゲームを見つけた。 タイトルは「アナザー・イリュージョンワールド」というものだった。 このゲームは現実の街とリンクしているものだ。アバターをつくり、街を歩きイリュージョンスポットという場所を見つけてアイテムをゲットしたり、モンスターと戦ったりしてレベルをあげていくというものだ。 僕は自分のお腹をさする。 最近運動不足で太ってきたし、ちょうどいいかな。 僕はさっそくアナザー・イリュージョンワールドをインストールする。 スポーツウエアに着替えて、外に出る。 どうやらこのゲームは歩いた分だけジルがたまるようだ。 ジルはゲーム内の通貨だ。 このジルを貯めることにより、ゲーム内のアイテムや武器を購入することができる。 僕はしばらく外を歩く。 季節は暑い夏が終わり、比較的涼しい秋となっていた。 こういうソシャゲをするのは初めてだ。 いつもは通り過ぎるだけの場所がスポットになっていて、そこには宝箱があったり、モンスターがいたりする。 僕はとあるお蕎麦屋さんの前に立つ。 へえ、こんな場所にお蕎麦屋なんてあったんだ。 そのお蕎麦屋さんはモンスタースポットになっているようだ。 僕はスマートフォンの画面を見る。 そこにはかわいらしいケモ耳娘が写しだされている。 巫女服を着ている。手には短刀を持って、こちらを見ている。 さっそく戦闘が始まる。 僕のレベルはここまで歩いてきて、レベル3となっている。 よし、どうにか戦闘に勝てたぞ。 しかもこのケモ耳娘を仲間にできるようだ。 名前は村雨丸(むらさめまる)というようだ。狐の妖怪であの九尾の狐と同種とのことだ。 村雨丸の尻尾は二つだけだった。 ステータス画面にプロフィールが書かれている。妖狐としてはまだまだ若いようだ。 「よろしくね、お兄ちゃん」 とメッセージが流れる。 なるほど、村雨丸は妹キャラか。 店の前でいると店員さんが出てきた。 小柄な女性でどことなくさっき仲間にした村雨丸に似ている気がする。 大きな瞳をした、けっこうかわいい女の人だ。 「あら、お客さん。今からお店あけますね」 とその女性は言った。 別にこの店に来ようとしていたわけではないが、ちょうどお腹も空いていたのでお昼にすることにした。 僕はカレー蕎麦を注文する。 すぐに運ばれてくる。 持ってきてくれたのはあの女性店員だ。 「ごゆっくりどうぞ」 と言い、厨房に消えていく。 僕はカレー蕎麦をずるずるとすする。味は予想外にうまい。 カレーのスパイシーさと出汁が絶妙のバランスだ。ボリュームもかなりあり、大満足だ。 しかも値段がけっこう安い。これは良いお店を見つけたぞ。 満腹になった僕はお店をでる。 ダイエット目的でゲームをはじめたのに食べ過ぎかな。 これから僕はこのアナザー・イリュージョンワールドにはまり、いろんな場所に行き、アイテム集めたり、モンスターを倒して仲間を増やしたりしていった。
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