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副生徒会長の逢瀬さんと会計の安藤さんは帰り支度を整え、廊下でA夫くんとすれ違った。すれ違う時、A夫くんは屈託ない笑顔で二人に帰りの挨拶をした。
「あっ。副生徒会長と会計さん。放課後の生徒会活動、ご苦労さまでした。さよなら」
二人はこれまでA夫くんとは会話らしい会話などした記憶はなかったが、A夫くんのあまりに自然体の口から出た感謝の言葉と別れの一言に、二人は爽やかなものを鼻に感じた。
体重が二人の二倍のA夫くんがドシドシと足音を踏み鳴らして去っていくと、二人は顔を見合わせた。
「あっ。そういうことか」
「私もわかった」
「B子さんがなんでA夫くんと付き合おうって思ったのか……。さっき、彼から確かに良いにおいがした。倉科生徒会長の発見したA夫くんの良いにおいって、印象だったんだ」
「同じクラスだった一年生の時には気づかなかったけど、あれだけの自然体、爽やかな印象から告白されたら、私だって口説かれるわ……」
A夫くんの魅力を発見した二人はちょっとだけB子さんに嫉妬したのだった。
<終わり>
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