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町を出ると、辺りは朝焼けが広がっていて、ボクは空全体をぐるりと見渡した。
東の空でお日様がおはようと顔を出し、白い雲をオレンジ色に染めている。青色と橙色に広がった空が美しかった。
ボクは家までの道を急いで帰った。
昨夜は暗くて見えなかった景色にチラチラと目をやりながら、空を散歩する白い鳩達を見上げながら、ボクは走った。
しばらくして、遠くの方から呼び叫ぶ声がした。
立ち止まって小さな耳を目一杯立てると、その声を受け取ったボクは喜びに震え、瞳が一気に潤んだ。
「ママ――!!」
声の方に向かってボクは足が縺れそうになるくらい走った。ボクに気がついたママが向かってくるのが見える。
「坊や!」
「ママぁ……」
ママのふかふかの毛には、至る所に小枝や落ち葉が付いていた。毛繕いをしていないせいかボサボサに見える。ボクは落ち葉を鼻で落としながら、ママに抱きついた。
「ママ……ごめんなさい。勝手に出て行ってごめんなさい」
「ママもごめんね。もっと坊やを信じてあげるべきだった」
ボクもママも鼻をクゥンクゥン鳴らして泣いた。
そしてお互いを温め合うようにして、体を寄せ合いながら家へと帰った。
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