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ボクは家出をした
ある朝、ボクはママとケンカした。
毎日一回は怒られるのが日常だったけど、今回ばかりはボクはママに謝りたくないって思ったんだ。
ママは本当にボクのこと好きなの?
ボクはママの愛を確かめたくて、ちょっと怖かったけど、初めて家出をした。
枯れ葉の絨毯を弾むように走りながら、途中で落ちてるドングリを食べながら、ボクは住み慣れた森を駆け抜けた――。
走れるところまで走ろう。そんな風に一目散に駆けていたら、辺りはすっかり暗くなっていて、どこからかホーホーとフクロウの声がする。
暖かな毛に覆われた体もブルブルと震えるくらいに冷えてきた。
寝床を探そうとウロウロ歩いていたら、小高い丘を抜けた先に小さな町が見えた。
オレンジ色の暖かな灯りに誘われるように、ボクはその町へと足を踏み入れた。
町の入口を真っ直ぐ行った先には教会が見える。
月明かりに照らされた白壁の教会は、大して灯りも点いてないのに明るく目立っていて、僕は見惚れながら、てくてくと教会へ向かって歩いた。
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