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「僕には祖母がいるのですが……今日、具合が悪くなって病院に運ばれたんです。母の話では、しばらく祖母は家に戻れないって……」
ボクは一生懸命、彼の話を理解しようと想像しながら聞いていた。椅子に後ろ足を乗せて、前足をテーブルに置き、耳をピンと立てた。
「僕、祖母の料理が苦手で……両親とも働きに出ているから祖母が夕飯作りを毎日していたんです。僕がソーセージを食べたい時も、出されるのは魚料理で……」
――ん? 何がダメなの? お魚ご馳走じゃない?
「夕飯の前におやつを食べたりして、祖母の料理をいらないって言ったこともありました……」
――ボクは全く理解ができない。
この子は食べ物に困ったことがないのかな?
「ハンバーグを食べてみたいって言って、初めて祖母に作ってもらった時も、思っていたのと違うってへそ曲げてしまったんです……頑張って作ってくれたのに。いつも、こうなんです。後になって罪悪感に押し潰されそうになる」
やっと少年の気持ちが分かったような気がした。
ボクもママとケンカして、ひどい事を言ってしまった後はすごく嫌な気持ちになる。言い過ぎたって後悔する。
「今回、このまま会えなくなるかもって思ったら、怖くて、悲しくて……眠れなくて……」
鼻を啜る音が聞こえて、少年が泣いているのだと分かった。
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