17人が本棚に入れています
本棚に追加
二人目の告白者
***
数時間経った頃、ボクがぷぅぷぅと寝息を立てていると、また隣に人の気配がした。
瞬きをパチパチとして眠気を覚ますと、ボソボソと声が聞こえてきた。
「神様……神父様抜きで悪いが、話を聞いてくれ」
その低くかすれ気味の声に、ある程度年のいった男だと分かった。ため息を吐くように話し始める。
「母親を今、介護しているんだが……俺は怒ってばかりで、優しく接してやることができねぇ……。俺の女房は義母の介護に疲れて出ていっちまうし、俺一人で面倒を看てるんだ」
ボクは音を立てないよう気をつけながら、また椅子に上がった。そっと男の話に耳を傾ける。
「さっきも……トイレを我慢してたんだか、シーツに漏らされて……ついイライラして、こんな夜中に何してくれてんだって怒鳴っちまったんだ」
男の深いため息が聞こえて、呼吸を整えているような、次の言葉を探しているような沈黙の時間が流れた。
「そうしたら、母ちゃん……泣きながら死にたいって言ったんだ」
ボクの心臓がギュッと苦しくなった。
そんな台詞をママから聞いたら……。
ボクは恐ろしくて、想像を振り払った。
最初のコメントを投稿しよう!