ボクは家出をした

1/4

15人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ

ボクは家出をした

ある朝、ボクはママとケンカした。 毎日一回は怒られるのが日常だったけど、今回ばかりはボクはママに謝りたくないって思ったんだ。 ママは本当にボクのこと好きなの? ボクはママの愛を確かめたくて、ちょっと怖かったけど、初めて家出をした。 枯れ葉の絨毯を弾むように走りながら、途中で落ちてるドングリを食べながら、ボクは住み慣れた森を駆け抜けた――。 走れるところまで走ろう。そんな風に一目散に駆けていたら、辺りはすっかり暗くなっていて、どこからかホーホーとフクロウの声がする。 暖かな毛に覆われた体もブルブルと震えるくらいに冷えてきた。 寝床を探そうとウロウロ歩いていたら、小高い丘を抜けた先に小さな町が見えた。 オレンジ色の暖かな灯りに誘われるように、ボクはその町へと足を踏み入れた。 町の入口を真っ直ぐ行った先には教会が見える。 月明かりに照らされた白壁の教会は、大して灯りも点いてないのに明るく目立っていて、僕は見惚れながら、てくてくと教会へ向かって歩いた。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加