6.彩和さんだけです。

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 私の部屋にお菓子とお茶を置いて、ダンジョン攻略の会議です。  断じてお茶会ではありませんよ。  彩和さんと二人きり。会話が少ないので、若干の気まずさがありますが、気にしても仕方ありませんよね。  一番好きなお菓子は手元に確保したので、悠々と会議に勤しみましょう。とはいっても、ダンジョンに潜る時間も考慮すると、そんなに悠長にはしてられないんですけどね。 「えっと、今日は第二階層攻略ということでしたよね。私は戦力にならないので、負担は彩和さんと、黒崎さんにかかってしまうんですが……。」 「問題ない。私強い」  素晴らしい自信ですね。余程の実力者と見えます。 「…………クロサキサン?」  あれ?話してませんでしたっけ? 「黒崎さんは、一緒にダンジョンに入っている、猫さんです。」  あれ?反応がないですね。どうしました?おーい。 「…………どうゆうこと?」  あ、動き出しました。 「黒崎さんは、お友達の野良猫で、ダンジョンに一緒に潜ってくれてるんです。」 「それは聞いた。どういゆうことか聞いてる。」  なんか、微妙に会話が噛み合ってないですよね。どっちが悪いんでしょう。  まあ、どっちもでしょうね。  私も会話は得意な方ではないので。私が話してても、ちょっと何言ってるかわからない、って言われることが良くありますし。  それでも、私一人のせいだとは言いませんけどね。絶対に。 「説明すると難しいんですけど、………まあ、会ってみたらわかると思います。」 「わかった。これだけ食べたらすぐ行こう。」  これだけって。両手に山盛り持ってるじゃないですか。  私が用意しておいて言うのもなんですけど、ダンジョン探検前にそんなに食べて大丈夫なんですか?  お腹いっぱいで動きにくくなりません? 「食べた。行こう、萌愛。」 「あ、はい。」  食べるの、めっちゃ早いですね。もうちょっとゆっくり味わってもよかったんですよ? 「私は準備できてるけど、萌愛は?」 「準備なら、昨日からしてますよ。」  いやあ、我ながら用意周到ですね。遠足が待ちきれない小学生みたいになっちゃいましたが。でも、実際結構楽しみだったんですよね。 「………なにこれ。」  人の荷物を見て、なにこれってなんですか。人が頑張って用意した荷物ですよ?やっぱり失礼じゃないですか?この子。 「………お菓子、弁当、レジャーシート。全部いらない。萌愛、遠足にでもいくつもり?」 「ああああ!ちょっと、何やってるんですか!」  勝手に、出さないで下さいよ!せっかく彩和さんと楽しもうと思って用意したんですから。 「ねぇ、」 「な、なんです……?」  どうしたんですか、彩和さん。急に。いつになく目がマジですが…… 「ダンジョン、舐めないで。」 「…………ごめんなさいです。」  怒られてしまいました。
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