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6.彩和さんだけです。
今日は、夏さん彩和さんが来る日です。
ジャコウギルドさんのものになるダンジョンの事前調査と、この前決めた第二階層攻略のためですね。
恐らくそのダンジョン攻略前か後には、家で休むと思うので、お菓子を大量に用意しています。
主に彩和さん用ですね。
本当にめちゃくちゃ食べるんですから、あの子。図々しいですよ。
という事で、私は今日のダンジョン攻略に備えて、準備運動のうろ覚えラジオ体操をしているわけなんですが……。
ピーンポーン
おや。来たみたいですね。
「はーい。今開けますー。」
玄関まで急いで行き、ドアを開けると、そこには、彩和さんがいました。
彩和さん一人だけが。
「萌愛、久しぶり。」
「お、お久しぶりです、彩和さん。」
あれ?夏さんはどうしたんでしょう。
「えと……、夏さんは……?」
「夏は急用で来れなくなった。今日は私1人。」
「そうなんですね。とりあえず、中入ります?」
「助かる。」
そう言って、玄関から彩和さんを家の中に入れます。
ちなみに玄関の横は、ダンジョンのせいで壁がガラ空き。つまり入りたい放題なわけです。
だから別に、律儀に玄関から入る必要はないんですよね。
玄関じゃない場所から家に入るのって、なかなか背徳感みたいなのがあって、いいんですよ。黒崎さんも、最近は壊れた壁から入ってきます。
まあ、彩和さんも、律儀に玄関のインターホンを押してくれたわけですし。今日はちゃんと玄関を使いますが。
「じゃあ、ここでちょっと待っててください。」
「わかった。」
彩和さんを、以前と同じく私の部屋に案内し、お茶を入れに行ます。
彩和さんと二人きり。何を喋ればいいのかわからないので、結構無言の時間が多いんですよね。
この前は、夏さんがずっと話し続けてくれてましたし、それに夏さんって、なんでも受け止めてくれそうな雰囲気があって、私も安心してお話ができたんですよね。
だから、この前はこんな気まずさはなかったんですけどね。
彩和さん自身も、夏さんがいた時より口数が少ないですし。というか、私が話しかけた時以外喋ってないですし。
お話、したくないんでしょうか。
もしかして私、ちょっと嫌われてます?
いや、そんなことはないですよね?
ない、ですよね………?
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