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「ただい………」
あ、そうでした。家、壊れてるんでした。
そういえば昨日は大変でしたね。バイトがあって忘れてました。
たかがバイト程度で忘れられる事件じゃないと思うんですけど。
まぁ、あんな衝撃的で不幸としか言いようのない事件にも、ちょっとしたラッキーはありました。不幸中の幸いというヤツですね。
まず一つ。巻き込まれた人がいなかった事です。
一人暮らしなのが幸いしましたね。普段はちょっと寂しいし大変なんですが、この時だけはそれで良かったと心から思いましたね。
あと、黒猫の黒崎さんも無事でした。昨日は何故か一日中見かけなかったんですが、今日の朝にはけろっとして餌をねだりに来てましたね。
無事で何よりでした。
そして二つ目。全壊じゃなかった事ですね。
潰されたのは一部の部屋だけでした。台所とリビングとお仏壇は無事でしたので、一応普通の生活は送れそうです。
無駄に広いだけで掃除が大変な一階建のおんぼろ平家も、この時だけはありがたかったです。
二階建てなら一階の天井もぶち抜いて全壊は免れなかったでしょうからね。
潰されたのは、私の部屋と使ってない物置部屋でした。
部屋はまだ余ってるのでしばらくはそこを使えますし、通帳とか大事な書類も瓦礫からなんとか拾い集めてほとんど無事なので被害は最小限です。
まぁ、お気に入りの火炎放射器フィギュアが門の下で粉砕してたのを見つけた時は泣きそうになりましたが。
それに、部屋が潰されてるわけなので、壁が壊れて風がびゅーびゅーに入ってくるんです。まだ6月なのでよかったですが、冬だったら寒くて死んじゃってたかもしれませんね。
で、まぁ半壊した家の修理とか、ダンジョンの処遇とか色々問題があるのですが。実は明日からしばらくバイトで休みを貰って来まして。その期間にゆっくり手続きをしようと思います。
お金の事は、まぁ、正直かなり厳しいですが、なんとかなる事を願いましょう。
バイト先にこの事を相談した時、皆んな意味わからんって顔でしたね。証拠の写真を見せてなんとか信じてもらえましたが。
…………それにしてもダンジョンですか。
時計はまだ3時。
6月の日暮れにはだいぶ早いですね。
「………ちょっと入ってみます?」
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