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「あ、糸くず付いてるよ」
「イテッ!」
付き合って1ヶ月の秀吉は背も低くて猿顔だ。そろそろ関係を終わらせようと考えている今日この頃。
それでも給料日だからご馳走すると言われ、ノコノコ食後のホテルにまで付いてきてしまった。
ふと秀吉の肩に白っぽい糸が付いていたので取ってあげようと摘んだ。まさか毛なんて思わなかった。
「何これ白髪? 抜いちゃえば?」
「ダメダメ! これは”福毛”っていって幸運の毛なんだ」
「そうなの?」
「うん。福毛は宝毛とか命の毛とも呼ばれる縁起のいいものなんだ。ネネちゃんにもあるか探してあげるよ」
「え……ちょっと」
秀吉は布団に潜り込み私の体中を調べ始めた。
「ふむふむ、福毛の生える場所によって幸運の種類が違うんだ」
家に帰り福毛について検索した。
「ふ〜ん、肩の福毛は”出世運”か。ふ〜ん……」
今まで何人もの男と付き合ってきた。みんなロクでもない男ばかりだった。顔だけは良かったけど。
やっぱり男は顔じゃないのかな。ちゃんと仕事をして出世して世間から認められる男が結婚相手としては相応しいのかもしれない。
「結婚!?」
そんな事を考えた事なかった。でもそろそろ考えてもいい年だ。
「結婚かぁ……」
自分のウエディングドレス姿を想像した。お父さんもお母さんも嬉し泣きするんだろうな。迷惑をかけ続けてきたから、そろそろ恩返しをしようかな。
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