Fortune Hair

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「あの後会社辞めたんだ」 「え!」 「縁談断って風当たり強くなってさ」 「そうなんだ」  私が福毛抜いちゃったからかな?  「でもそれで自分で会社を作ったんだ」 「え!」 「ビルの一室を借りて始めたんだけど、手狭になってきたから社屋を建てる事にしたんだ。ここに」  この空き地に秀吉の会社が建つ……。 「凄いじゃない。一国一城の主になるのね」 「うん」 「夢が叶ったのね。おめでとう」 「ありがとう。でも、僕にはもうひとつ夢があるんだ」 「え?」 「ネネと結婚したい」 「……」  その後お洒落なホテルでディナーを食べ、そのままチェックインした。まあ自然な流れである。プロポーズの返事は保留中だが。 「ずっとこうしていたい……」  秀吉は私を痛いくらいに抱きしめた。そして私の目の前には秀吉の肩が。 「あっ……!」  福毛がひょろひょろと揺れていた。福毛って抜いてもまた生えてくるものなんだ。 「愛してる……」  秀吉は布団に潜り込んだ。そして昔のように私の体を探り始めた。 「あれ……わっ! 発見!」 「え、なに?」 「ネネの福毛発見!」 「え、どこどこ?」 「ここ」  秀吉は私の腰に指を当てた。 「見えないよ」 「だろうね。へへ、僕だけしか知らないネネの秘密だ」  私にも福毛があったんだ、それも腰に。確か腰に生えてる福毛の意味は「玉の輿運」。  そんな素敵な運を持っていたなんて。それは乗るしかないよね? 〈終〉
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