先行投稿 第1話異色の【buddy】

1/11
前へ
/19ページ
次へ

先行投稿 第1話異色の【buddy】

2週間前—— 5月、春、街が陽気に包まれ、生物も活気づく季節。 だが、俺の心情はゲリラ豪雨であった。 俺は、重い手を上げドアをノックする。 ??「失礼します」 ??「どうぞ、天野優吾巡査」 警視庁長官室。 なぜ俺がこんなところに呼ばれたのか、全く見当もつかない。 天野「……あなたは?」 ??「ご存じないのか?    私は園田康彦、警視庁現長官だ」 まぁ、そうでしょうね。 名前は知らなかったが、 長官の席に堂々と座れるような人間は一人しかいない。 天野「それで、なぜお……私はここに呼ばれたのでしょうか」 危ねぇ~、いつもの癖で俺って言いかけた。 園田長官は、俺のことをまっすぐ見つめてくる。 園田「君の情報を、読ませてもらった」 といって、紙の束を差し出してくる。 それをパラパラと見ながら話を聞く。 園田「天野優吾巡査 24歳 独身    現在は捜査一課の第一線で活躍しているが、若さゆえに、    出世がはばかられている。    頭もよく切れ、戦闘になっても負けることはない。」 天野「はぁ、」 園田「だが、上層部に対する態度がなっていない」 天野「うぐ……」 今、俺の心に何かが刺さった。 園田「はっきり言っておく。君を巡査から出世させることはできない!」 天野「えぇぇぇぇぇぇ⁉」 園田「まず、君に足りないのは何だと思う?」 天野「足りないものですか……出世ですかね」 園田「あほ!」 えぇあほ?どういう人なんだこの人。 園田「君は最低限の敬語しか使えていない。    だから、上の人を敬うという力を身に着ける必要がある    これは、大きな組織には絶対に必要なことだ」 天野「はい……」 園田「まぁ、私はあまり気にしないがね。    君のような面白い人間が、私は好きだよ。」 天野「ありがとうございます」 園田「それで、今回呼び出した理由は、    君に特殊業務を任せるためだよ」 天野「特殊業務?」 園田「”学校常駐特殊教員(がっこうじょうちゅうとくしゅきょういん)”名付けて    【blue school(ブルースクール)】という試験運用の新計画だ」 天野「ブルースクール……でも、なぜ学校に警察を?」 園田「学校では、さまざまな未成年犯罪が起こる。    飲酒、喫煙だけではない。    いじめやカツアゲ、性欲求を満たす行為。    生徒だけではない。教師もそうだ。体罰、パワハラセクハラ。    こんなのに、全部教師が対応すれば、ただのブラック企業だ。」 天野「なるほど……でも、なんで俺が?」 園田「君に足りないものは何だった?」 天野「えっと、上の人を敬うこと?」 園田「そうだ。なら、上下関係と言えば?」 天野「会社?」 園田「違う」 天野「消防?」 園田「違う」 天野「警察?」 園田「おい、答え分かってないか?わかったうえで避けてるんだろ」 天野「はい……”学校”ですか」 園田「あぁ、正解だ」 天野「それで、それを学ぶために俺は指名されたと?」 園田「そうだ」 園田「君はこれから、東広島市の私立帝都高校に配属される。    任期は1年。頑張ってきてくれたまえよ。」 最悪だ……
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加