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アレクが嘔吐をし続ける間に、荒々しい運転でラウンドクルーザーが後方からやって来た。
ユンソルは衝突されることを避けて、ドアが開いたまま後退し、ハンドルを一回転させて車体を大通りに向かせた。
ラウンドクルーザーはフォード車のほうに突っ込みかけたが、そこで急ブレーキを踏む。同じように後退を始めた。
「ドアを締めた方が良い。
今度はあなたの頭が吹き飛ぶ。」
ユンソルが穏やかな口調で注意すると、アレクは口を拭きながらドアを閉めた。閉めたと同時に窓ガラスに弾痕が3つついた。
ユンソルは急加速をして、十字路に侵入。赤信号を直進したために、左右から車が向かってきた。アクセルを強く踏み、80kmで走り抜けた。
十字路を抜けると、片側一車線の舗装道路に入る。80kmで走行しているBMWの前に横入りするように新たなフォード車が飛び出してきた。
ユンソルはハンドルを左に反転させ、タイヤが地面を鳴らす。片手にグロックを構えて、開いている運転席の窓から、フォード車の前輪タイヤを狙撃した。
とうとうBMWが旋回をやめて停車すると、ユンソルはアレクに「隠れてて」と言ってから運転席から飛び出した。
M40A1を前に構えて、BMWのボンネットから姿勢を屈めてフォード車を撃っていく。
少しずつ窓にヒビが入り、割れていく。窓に血が飛び散り、運転席の窓からだらりと腕が伸びた。
スライドドアを開けてマフィアの一員たちが降りてくる。手にはサブマシンガンがあり、光りのごとく銃弾が煌めきながらユンソルに襲いかかる。
ユンソルは一度BMWの後ろに隠れてタイミングをはかる。耳が良いユンソルなら銃声と足音を聞き分けることは容易い。
ふたりの足音が前後から来ることを察知した。ユンソルは先に前から来る男の頭を撃ち飛ばし、後方から来るであろう弾丸を屈んで避けた。
屈んだ姿勢から足を回して、男の足を引っ掛け尻もちをつかせると、低姿勢を維持したままグロックで腸を撃ち抜いた。
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