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ユンソルが観ていたのは、BMWの後ろから二番目にある車高の高い車だ。後ろの車が右折ラインに移動した瞬間に正体をみた。
「掴まって」
ユンソルが呟くと、アレクは一瞬動けなかった。彼の理解より先に車が大きく旋回する。後ろ向きに車道を走り始めた。ユンソルは前後を交互に観ながら、後退している。
彼らを追跡していたのは、さっき逃れたラウンドクルーザーだ。
助手席の男がサブマシンガンを発砲してきた。ヒビが無数に入っていき、フロントガラスが見えにくい。ユンソルはグロックで運転席の窓から手を突き出した。
そしてブレーキを踏むと、近づいてくるラウンドクルーザーの助手席めがけてグロックを発砲した。アレクは衝突に備えてシートにしがみついた。
車が激しく揺れるかと思いきや、ユンソルは咄嗟にギアチェンジをしてラウンドクルーザーを避けるために車体を左に逃がした。
車体の横を擦られながらも、衝撃は起きない。すぐに車体を旋回させ、先をいくラウンドクルーザーを追跡していく。
「このまま逃げるのが先決だ!
この先に左に行けば、四駆車が通れないような狭い道がある。」
アレクが声を震わせながら言ったが、ユンソルは呆気なく逃げ道を通り過ぎた。
「なんでだ?!今、行けた!」
アレクが追求すると、ユンソルは頭を振った。
「ここで逃げてどうするんです。
敵はまた来ます。
だったら、ここでカタをつけます」
ラウンドクルーザーに迫っていくと、ユンソルはグロックを左手に持ちかえた。ラウンドクルーザーを右へ避けながら、一瞬を見逃さない。運転手と助手席の男の首と頭をニ発の弾丸が確実に仕留めた。
ラウンドクルーザーの後部座席にもマフィアの残党がいる。しかし、運転手が即死した影響でタイヤをスリップさせながらガードレールを突き破り、道路下の野原へ落下していった。そうして数秒後には炎と煙が上がった。
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