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「落ち着いてください」
ユンソルが言うと、アレクは唇を噛んだ。怒りがこみ上げているが、何に対して怒っているのか分かっていない。整理できない状態で、相手を抗議する習慣がない。
「俺があなたの質問に答えます。
安心したら、車から降りてください。
ニコルはドアを閉めてくれるかい?」
ユンソルは振り向いて、やさしい笑顔で言った。ニコルは頷いて、ドアを閉めた。明らかに落ち込んでいるニコルの肩をハイドが撫で「ユンソルさんに任せろ」といった。
「このホテルから3km圏内に監視カメラが52個仕掛けられています。
あなたを狙っているマフィアの組員の顔は監視カメラに登録されています。だから、カメラに映った時点ですぐに連絡が来るんです。
3km圏内に52箇所ですよ。
監視網は完璧です。」
アレクの吐息はまだはやい。
「車の外にいる彼らは偵察隊というものです。
俺が所属している軍の一部で、
今話した監視システムを駆使できる
エキスパートです。
俺達がこうして無事にホテルまで来たのは、
彼らのおかげといっても過言ではない。
ナビを使って、敵の目を掻い潜らせたのですから。」
アレクは長い溜息を吐いたあと、ドアを開けた。ニコルとハイドが並んで待っている。
「君も降りてくれないか」
アレクは降りる前にユンソルに言った。
ユンソルは頷いて、運転席から降りた。ニコルとハイドに目配せをしてから、アレクの前に行く。
アレクはようやく車から降りた。
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