episode 40 盾となれ

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アレクの部屋はホテルの17階にある。スイートなどの大部屋はとらずに、シングル客のための小さな部屋に案内した。これも警備のためだと把握しているアレクは、待遇に文句を言うことはない。 17階は一般客を使用させず、偵察隊を始め、軍が補助として雇った民間警備会社の隊員が25名ほど廊下に並んでいた。アレクは一人ひとりの顔を見ながら通り過ぎていき、部屋に辿り着いた。 アレクの希望でユンソルも中に入り、部屋に不審物がないか先に調べさせられた。 「この丸い物体はなんだ」 アレクはクローゼットの上にあるソケを指差した。 「監視カメラです」 「そうか」 アレクはすぐに納得し、ベッドに腰かけた。ユンソルは壁に沿って立っている。 「そこに座ってくれ」 アレクが指差したデスクの前にある椅子にユンソルは腰かけた。アレクは力尽きたようにベッドに寝転がった。 「妻と娘はどうしてるかな」 「……………」 アレクの家族に関しては、軍部が保護することは出来ない。アレクが提示した報酬額では、家族を保護するまで出来ないのだ。 「結局…、自分がカワイイんだ」 アレクは息の多い声でつぶやいた。ユンソルはグロックをテーブルの上に置いて、手首を回している。 「自分の命をすててまで、 彼女たちを保護しなかった。」 「警察に頼んだでしょう」 ユンソルが言うと、アレクは鼻で笑った。 「昨日の敵の家族を、 しっかり警備するとは思えない」 「プロなら私情は挟まないですよ」 「私情…? 何年、この裁判をやったと思ってる。 ずっと私と警察はバチバチだったんだぞ。」 自嘲じみた笑みを浮かべながら、アレクはまだ天井を見ていた。
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