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「お前こそ、どこにいるんだよ。」
エルは携帯を持っていたはずだが、今は非通知だ。猜疑心があるから、携帯でかけられないのか。
「た…台北市…」
「は?マジで」
偶然にもチソンは台北市内のルイが働く風俗店専用の店員寮にいた。
「た…台北市…の…び…病院」
「病院?
まだ治んねーの。」
エルは康介に突き落とされて、背骨が折れ曲がり肺を突き破る重体だった。チソンもまた、ユンソルに背後から狙撃されて生死をさまよった。チソンは自分の意志で、ケイが経由している病院から脱走して行方を晦ましていた。
「ち…ちがくて…。
ケ…ケイが…買った…び…病院…なんだ。」
「アイツが?」
「う…うん…。」
「買ったって…。
どうせ脅したか殺して、奪ったんだろ。」
鼻で笑いながらチソンは返した。しばらく沈黙がつづいたあとに、嫌な予感がした。
エルの荒い息遣いが消えたのだ。
いま、電話を持っているのが誰なのかわかる。
「チソン、さがしたよ」
チソンはその声にハッとして、ほぼ無意識に携帯を切った。それから携帯を地面に叩きつけ、踏みつぶす。
「くそ!くそ!」
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