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「わかる?
一番怖いものが、味方をしてくれる。
そうしたら何も怖くないし、
自分は強いと錯覚できる。」
ケイは院長に目を戻し、ゆっくり立ち上がる。向かいのソファにいる院長に近づき、隣に腰掛けた。もう止血は諦めて、タオルは床におちている。
ケイは拳銃を抜き、その銃口を院長の穴に押し込んでグリグリ回した。院長は「ぎゃあああ」と悲鳴をあげ、子供のように足をジタバタさせ、ソファで体を浮かせたり沈めたりとのたうち回る。ケイはゲラゲラ笑っている。
やがて院長の足がピンと張り、体が3回震えた。それからソファにぐったりもたれて、動かなくなった。
「死んじゃった」
ケイはアリスを見てそう告げた。アリスは頷き返し、それからエルを見る。
「チソンはどうするの」
「彼も連れ戻すよ」
「あなたに必要とは思えないけど」
「俺は欲張りなんだよ。
俺のモノになったら、一生手放さない。
アリスちゃん、君もだよ。」
アリスはケイをじろりと睨んだあとに「知ってる」と答えた。
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