episode 60 不完全なモノたち

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2発目の弾丸が光を突き破って飛んでくる。 チソンは無意識だが、体が覚えている。迫ってくる殺気、弾丸…いや、やはり殺気。 チソンの床についた手のそばを弾が跳ねた。 チソンは床の上に体を転がせ、ベット下からライフルを掴んだ。 ルイが使わないように、弾はいつも入れていない。ローテーブルの引き出しから弾を取っているうちに、次々と弾が降ってきた。窓が割れ、ソファの革が破け、ベットの布団から羽がふわふわ舞い上がる。 弾を箱ごと取って、蹲ったまま弾を込めた。スライドを引き、ベランダの窓際に向かってソファごと押し込む。ソファに飛び乗り、横たわる。ソファの上に弾が来ることはなく、チソンはそこで冷静に考えた。 (間違いない。 劉の誰かだ…。) 向かいの団地から撃ってきてることは間違いない。射程距離はそれほど遠くなく300mといったところか。 (相手が誰かによる。 ブッチか、アリス…エル。まさか…ケイ?) ケイのはずがないと頭を振る。 ソファの位置から鏡台の割れた鏡が見える。鏡は向かいの団地を見せてくれていた。
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