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団地の吹き抜けからライフルを構えている男はニット帽をかぶった黒ずくめの格好。しかし体格とライフルの持ち方でわかる。
(ブッチ…)
チソンはソファの上で態勢をうつ伏せにした。それから銃弾が途切れてから、ライフルの銃身をソファの上にのせる。スコープを限界まで引き寄せた。
ブッチがちょうど弾を装弾しているところだ。
チソンは首から上をソファの上から覗かせ、クロスヘアをブッチの首に合わせて、間髪入れずに発砲した。
ブッチの大げさに慌てた顔が映る。
しかし土壇場で体をそらされ、弾はブッチの左肩を抉った。
「くそ」
チソンはもう一度ソファに寝そべり、息を整える。すぐにブッチからの反撃が発生した。無数の銃弾が確実にソファの背もたれを貫通してくる。チソンはカーペットの上に転がり落ちた。
息絶えたルイの虚ろな目が見える。
『怖かったでしょう。
もう大丈夫だからね。
私が絶対にあなたを隠すから。』
ルイの声が頭の中を反芻した。
「ルイ…俺を隠してくれるんじゃなかったのかよ」
ブッチに情報を売ったのは……。
「ルイ。
なんで俺を裏切ったんだ。」
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