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その時だった。
がしゃん、とも、ばりん、とも違う、何かが外側から割れる音が聞こえた、と同時に。
ハッと身を固くしたわたしとセンセイの前に、どどどどっと、イケメンと美少女の集団が、なだれ込んできた。
涙で曇る視界。
わたしを心配してくれたらしく、のぞき込んでいるのは、甘い香りのピンクの——。
「三好さん、無事?!」
何やら不思議な文言が書かれたお札を、カードゲームみたいに何枚も持ったまま、センセイを追いつめていくのは、坊主頭のイケメンさん。
彼を先頭に、弓やら、ボールやら、それぞれの獲物?を構えている皆さん。
「な、なんだ、このガキどもはッ?!」
初めて聞くうろたえ切った声に返事をしたのは、わたしの目の前の彼女。
「『はらいや代行』執行役員代理・鈴本美芳(すずもとみよし)…」
「はらいや…?!」
「田村千景(たむらちかげ)サン、だいぶお支払いが立て込んでおられますね?」
センセイに向ける目は、刃物よりも鋭く凍えていた。
「支払い?何のことォ?」
「負の感情を貯めこみすぎて、焦げ付いておいでですねっておはなしです」
ふう、とため息を吐いた鈴本さんが、手元のショールのポケットから、がさ、と取り出したのは……
「その呪い、きっちり払わせていただきます!!!!」
「どっからきたの?!そのコロッケ?!!!」
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