6.さぁ、思い込みとはなんて便利なのでしょう。

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「男性が……怖い?」  ああ、楓さん。  貴女はなんて、純粋で、素敵な人なのでしょう。  私は口元をタオルで覆いながら目を伏せ、頷きました。泣きすぎて時々咳き込む様子は、切羽詰まった様子を装えていたのでしょう。楓さんが「ああ、ごめん。その可能性に気づかなくて。そっか、そうだよね……だって、すごく、怖い目にあって、間もないんだもんね……ごめん、ごめん……っ」と何度も謝りながら私を抱きしめてくれました。その胸元に、幼子のように顔を埋め、楓さんから香るせっけんの清潔な香りに包まれながら、私は口元にきつくハンドタオルを押し付けました。  にやけてしまう口元を隠すために。  誰にも、仮面の裏側が見えないように。  視界の端で、大智君が非常に傷ついた顔をしていましたが、仕方ありません。実際彼は私を傷つけるような行動をした前科があるのです。今、それを償ってもらいましょう。私だけが全てを背負うなんて、それは、平等ではないでしょう?  こうして私は、大智君という男性を酷く傷つけることを対価に。  楓さんという大きな味方をつけることに成功しました。
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