2.また昔のように仲良くなれる。それが私は嬉しかった。

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2.また昔のように仲良くなれる。それが私は嬉しかった。

 初めてだからと綿密に計画を立てたBBQは、それはそれは楽しかったです。  肉はこちらが買って、あちらは野菜と飲み物。子どもやちょっとした小腹用のおにぎりはお互いがお互いの家族分用意しました。  食べ物に関しては、子ども用だけでなく大人用にもちょっとお高めの肉や、お酒に合いそうな味の濃いものも買ってみたら旦那も「食の好みも一緒だったら嬉しいし、こんな機会滅多にないんだから奮発してしまおう」と、妙にウキウキした表情をしながら大好物の海鮮類も選んでいました。かなりこちらの好みで選んでしまったため、向こうの反応が気になりましたがそれは出会った時と同じく一瞬の杞憂ですみました。 「わぁ! 私の好みばかりです。海鮮系は調理の工程が面倒だったり匂いが気になるので滅多に買わないので嬉しいです。生ごみも増えるし。私、掃除とか片付けが苦手だから……ああ、今日は後片付けはお店の人に任せて何もしなくていいし、食べるだけ。すごい、もう、見てるだけでも幸せ」 「最高すぎかよ!! てか以心伝心してねぇ!? 俺の好きなもんばっかじゃん! おっ、この骨付き肉にぴったりの酒があるぜ。楓が選んだ果実酒は海鮮に合いそうだし……うおー! やべー! 子どものためと思ったBBQなのに俺が一番楽しんじまうぜ!」  あちらの夫婦はそう言って子供以上に大層はしゃいで喜んでいました。向こうが揃えてくださったものもそれはそれは素敵で、子どもが好きそうなものばかりの野菜はかじりつきやすい程よい大きさで食べ応えがあり、甘口系のお酒が好きな私は楓さんセレクトの果実酒に舌鼓を打ちながら大層堪能していました。とくに、ロックで頂くゆず梅酒の美味しいこと。楓さんとはビールがお互い飲めないことと、お酒の好み、味の好みがとても似ていると発覚したので、今度皆で一緒に居酒屋に行こうとそのまま次の約束をすぐにしてしまうほどでした。子どもたちもBBQ場から見える公園で思いっきり遊び、同じ年ということもあってかすっかり仲良くなっていて、途中からは2人で手を繋いで次の遊具へ、次の遊び場へ、と移動していました。ご飯を食べる時も、いつも旦那の膝の上に座ろうとする信二は男らしい所を見せたかったのか、それともすっかり葉月ちゃんに夢中になっていたのか、レジャーシートを敷いて二人で隣り合わせになって座って仲良く食べていました。それだけ仲良く過ごしたからか、お別れをする時に名残惜しそうに手を離す姿はこれから遠恋する恋人同士のようで、とても可愛らしくて、見守っていた大人の私たちはキュンキュンと胸を鳴らしていました。
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