【いつも見る同じ夢】

私は毎晩同じ夢を見ている。
いつも同じ場所で私は『あなたは誰？』と呟いている。
夢の中の私は海を見つめていて、波の音が心地良いのか『良い気持ち』そう言いながら腕を空へと伸ばしまついるのだ。
すると決まって後ろから私を呼ぶ声がする。

私はその声に振り向き微笑んでいるけど……その人物は靄(もや)に覆われていて誰か分からない。
ただ嫌な感じでは無いのは確かで『あなたは誰？』と問いかけた所でいつも目が覚める。

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やはり今日もあの夢を見た。雲ひとつ無い空――波の音が心地良い。
そして空に向かい腕を伸ばしながら『気持ち良い』呟く言葉も同じだ。そして次は私を呼ぶ声……その声に微笑みながら振り返る。
ここまではいつもとまったく変わらないのだけど、今日は少しだけ違った。

何が違うのか首を傾げている。それはほんの数秒で、すぐに違和感は分かった。
相手を覆っている靄が薄くなっているのだ。だけど相変わらず相手の事は思い出せない……だから『あなたは誰？』と心の中で呟いた所でまた目を覚ます。

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今日もまた同じ夢だ。もう何度見たかも忘れてしまったくらいだ。
雲ひとつ無い空に心地良い海風。空に向け腕を伸ばす私。
『気持ち良い』と呟く私。ここまではまったく同じで
呟いた後に私を呼ぶ懐かしい声……その声に振り向くと、相手にかかっていた靄は顔から下の部分は無くなっていた。
『あなたは誰？』今日も問いかけた所で目が覚める。

目が覚めて思った事は、『あなたは誰？』と問いかける度に靄が晴れていってるといいたこと。
今日は靄がかかってるのは顔だけだった……と言うことは、次に夢を見れば誰か分かるかもしれない。
そう思いながらいつもの日常が始まる。

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この夢を見始めてから、何日同じ夢を見ているのか、最初は数えていたけど、数日経ったところでもう数えるのはやめた毎日見ている同じ夢。
もしかしたら今日で最後かもしれない……と考えながら、今日も眠りについた。

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雲ひとつ無い空に向かって腕を伸ばす私――心地良い海風が頬を撫でていく。
『気持ち良い』と呟く私……それから私の名前を呼ぶ懐かしい声に返事をし振り返る。
やはり昨日まで顔にかかっていた靄が全て無くなっていた。

『あなただったのね』と呟きその人物を確認した所で目が覚めた。
目を覚まし、まだ隣で眠っている人物を見る。

そう……いつも夢の中で私が『あなたは誰？』と問いかけていた人物は、数年前偶然にもこの街で再会した私の大好きな人であり、今日私の夫になる人だったのだ。

何故こんなに何回も同じ夢を見て、彼の姿が靄に覆われていたのかは分からないけど……もしかしたら不安から来るものだったのかもしれない。
でも今日、夢で靄が晴れたのだからこれ以上考えるのはやめた。
これから私は幸せになるのだから……と隣の彼を起こした。