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部活が始まる直前、戻ってきたよしみんは今まで見た事もないような幸せいっぱいのオーラを纏っていた。満面の笑みでヨシトからオッケーをもらえたと報告してきた。わたしはというと、ボーッとしてしまって練習どころではない。
「……どうしたの? ココ」
「え、あ、いや」
さっきから飴沢くんの「かわいい」の言葉が頭の中で繰り返し聞こえてきてしまっている。
反射的に熱のこもる頬を抑えた。
「なんか、あった?」
眉を顰めつつ、楽しそうなよしみんの顔にあたしは飴沢くんとのことを話すことにした。
「なにそれ! もう好き確じゃんっ」
「……す、好き、かく?」
「好き確定! やっぱりソウジ、ココのこと気になってたんじゃん。あいついつもはぐらかしてたから」
「いやいや、そ、それは分かんないってば。単にあたしがヨシトのこと好きだって勘違いして慰めてくれただけなのかもしれないし」
「いや、あいつそこまで気が利くやつじゃないから」
だとしたって……。
「もしかして、あいつ自覚ないかも?」
「え?」
「うん、絶対ない!」
一人大きく頷き、よしみんは立ち上がる。
「よし、行こう!」
「え?! 行くってどこに?」
「ソウジのとこ!」
「え、ええええぇぇぇぇ───!」
行動的なよしみんには付いていけないよぉ。
そうは思いつつも、連れられてきたのは体育館前。部活が終わって中には誰もいない様子。覗き込んでいたわたしたちの後ろから「何やってんの?」と声がした。振り返ると、ヨシトと飴沢くんがいた。
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