わたあめ

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「部活終わったの? もしかして迎えにきてくれた?」  ヨシトが嬉しそうによしみんに近づく。今朝まではあたしにばかり話しかけていたのに、よしみんと想いが通じたことで、二人の距離がすごく近くなった気がする。 「うん! 一緒に帰ろうっ」  迷わず伸ばした手を取り繋ぐよしみんに、ヨシトは驚いている。幸せそうな二人が微笑ましく見えた。 「あ、なぁソウジ。ココのこと送ってやってくんない?」 「は?」 「ココ、これからはヨシミのことは俺に任せといて。で、今日からソウジのことよろしく頼むわ」 「へ?!」  ニコニコの笑顔で手を振られて、二人は歩いて行ってしまうから、わたしはただただ呆然と立ち尽くしてしまうだけ。 「……綿瀬が嫌じゃなかったら、帰る? 一緒に」 「え?!」  目の前で、また耳まで真っ赤にして目を逸らしてしまう飴沢くんに、わたしは心臓が飛び出そうになりながらも、何度も頷いた。 「か、帰るっ! 一緒に」  意気込んで返事を返したわたしに、飴沢くんが照れ笑いしながら歩き出す。 「今日さぁ──」  他愛無い会話からはじまる、わたしと飴沢くんの帰り道。  少しずつ、この距離が縮みますようにと、カバンの中に入っているわたあめを開けるのを楽しみにしながら、並んで歩いていく。 ─fin
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