29人が本棚に入れています
本棚に追加
「部活終わったの? もしかして迎えにきてくれた?」
ヨシトが嬉しそうによしみんに近づく。今朝まではあたしにばかり話しかけていたのに、よしみんと想いが通じたことで、二人の距離がすごく近くなった気がする。
「うん! 一緒に帰ろうっ」
迷わず伸ばした手を取り繋ぐよしみんに、ヨシトは驚いている。幸せそうな二人が微笑ましく見えた。
「あ、なぁソウジ。ココのこと送ってやってくんない?」
「は?」
「ココ、これからはヨシミのことは俺に任せといて。で、今日からソウジのことよろしく頼むわ」
「へ?!」
ニコニコの笑顔で手を振られて、二人は歩いて行ってしまうから、わたしはただただ呆然と立ち尽くしてしまうだけ。
「……綿瀬が嫌じゃなかったら、帰る? 一緒に」
「え?!」
目の前で、また耳まで真っ赤にして目を逸らしてしまう飴沢くんに、わたしは心臓が飛び出そうになりながらも、何度も頷いた。
「か、帰るっ! 一緒に」
意気込んで返事を返したわたしに、飴沢くんが照れ笑いしながら歩き出す。
「今日さぁ──」
他愛無い会話からはじまる、わたしと飴沢くんの帰り道。
少しずつ、この距離が縮みますようにと、カバンの中に入っているわたあめを開けるのを楽しみにしながら、並んで歩いていく。
─fin
最初のコメントを投稿しよう!