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記憶の階段4
私は、このベラルーシでの撮影の最中、日本から持って行った着物を着た。
そして、この日が誕生日だと言う、やはり母親がチェルノブイリ原発事故での被災者である娘ちゃんに、着物の着付けをさせて頂いた。
私はもう、ボロを着て、目立たないようにと気をつけて、笑顔を曇らせ続けるのは嫌だった。
明るい桃色の着物を着て、しっかり化粧をして、皆の前に立って、息子と一緒に誕生日の女の子に着物を着てもらって、みんなで笑い合った。
私と同じ傷を持つ彼女は、ピンクのワンピースを着ていて、可愛らしいピアスをしていて、真珠のネックレスもしていた。
もう、いいんだよね、そう言ってくれているようだった。
私は、ベラルーシでの撮影の間、ずっと好きな服を着ていた。
毎朝、化粧だってしっかりしたし、嬉しいことがあったら大きな声で笑った。
生きて行く。
もう隠れたりしない。
何を言われたって、屈しない。
堂々としていると決めた。
息子に恥じない、そんな母親になりたかった。
そこには、故郷を愛している私が不可欠だ。
自分のルーツを濁していては、自信がないと思われるだろう。
そこで確かに、私は幸福だった何年間もの時期を過ごしたのだから。
思い出が、輝きを取り戻す。
そのたび、生きてると感じられる。
生きて来たのだと、勇気が湧いて来る。
そんな心を私にくれたの、あなたは。
忘れない、ひとりじゃないこと。
ありがとう、元気にしてる?
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