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「「「いってきまーす」」」
お母さんにそう言って小学五年生の妹の美穂と中学一年生の弟の昂輝と一緒に家を出る。交差点のところで美穂と昂輝にバイバイと手を振ってから自転車にまたがり、学校へと走らせる。
すると途中で黒猫が前を横切った。
―――キキィィッ!
ギリギリで止まる。すると黒猫は固まったあとで、ピュン!と逃げていった。
あ、危なかったぁ~。
黒猫が怪我をしていなかったことにホッとしつつ、私は学校へと急いだ。
*****
夕方。
部活を終えてのんびりとした気分で家に帰ると家の駐車場に黒塗りの車が。
これはもしや……、
嫌な予感が頭を掠めたけど家に入らないという選択肢は無いので渋々、でも音をギリギリまで減らしてドアを開ける。すると
「新那様、椎菜様がお帰りになりましたよ」
と、スーツ姿の男の人が玄関先で言った。
やっぱり―――!
「おかえり、椎菜。今日は椎菜にお願いがあってきたの」
そうだろうなーと思ってたよ。新那が人を連れてここに来ることなんて、そうそうないんだから。
「どうしたの」
「パーティーの招待状を渡しにきたの」
私の質問に間髪入れずに答えた新那。
パーティー、パーティー、パーティー……………。
「なんで私も?」
「お祖父様に言われたのよ。ドレスとか必要なものは用意するから椎菜を呼べってね。私がよく話題に出すから気になっていたみたい」
はぁっ!?新那のお祖父様が?それは断れないでしょ…………。
「そうだ、美穂たちは?」
「美穂たちも来るわ」
「そうなの。へぇぇ〜……」
絶対断れないな、これ。というか断れないようにするために外部から固めていったでしょ、この子。
「椎菜、行こーぜ。飯が美味いらしい」
「チョコフォンデュだってー。絶対美味しいじゃん!」
ノリノリな昂輝と美穂。いやいや、あんたら食べ物目当てじゃん。子供かい! (←小学生と中学生は子供だよ。)
「ね!行こーよぉ。姉さんと兄さんもいるよ〜」
その言葉にハッとする私。
「え、なになに。優里さん来る?来るの?」
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