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瞬くその目は澄んだ青空に星が瞬く様を映すように青く澄み渡り吸い込まれるように美しく
雲のように透き通るような白い肌、ローズピンクの唇は潤いを宿し、美しい目に烟るような金のまつげ、すっと流れる金の眉毛、美しくサラサラと流れる金の髪は黄金で染めたかのように輝いている
あぁ僕の愛しきドールは白い出窓に腰を掛け、まるで天使の様にそこに存在している、
ただそこに生を感じるのは呼吸で胸が上下していることか。
可愛い可愛い僕のお人形にはエリーという名前があった。彼女は可憐な儚いその見た目に反して攻撃的で口汚いスラム上がりのような女の子だった。親に手がつけられないと施設に送られ、施設でも素行不良で追い出され、だがその清らかな体だけは守っていた。道でダンボールに埋まる彼女を僕が拾った。
彼女は自分の攻撃性も何もかも嫌気がさしていた。だが性格を変えることはできず、駄目なこととわかっていても手を出してしまうそんな自分を憂いていた。
だから僕は言った。
「君は手術をすれば改善するよ」
そうすれば彼女は不安を顕にしていたが、僕の必死な説得で彼女は自分の嫌気のさす性分を変えられるのならと手術を受けることにした。
それはかの有名なロボトミー手術、
統合失調症などの精神障害者に行われる脳手術
前頭葉と視床の連絡線維を切断すれば前投与と機能不全のシナプスは脳のほかの部分から完全に切り離されて、病態は改善すると考えたものだ。
多くの患者がこれで穏やかな日々を手に入れた。だがこの手術はリスクも高く廃人になることもある。
それがエリーに起きてしまった。
彼女は手術後からまるで人形のように空虚を見て何も見ていない、だがその胸は上下し口から吐息が漏れている。
その姿は彼女の本来の美しさをさらに浮き出させ最高のドールとなった!
穏やかな性格の彼女と暮らすのもいいが、僕の思いのままに動き、僕の思いの物を着せれる、素晴らしい!これぞ僕の求めていたドールだ!
僕は長いこと彼女をモデルに写真を撮り、たくさんの賞を受賞している、彼女の美しさを僕なら引き出せていると言う証拠だ。
あぁなんて気持ちがいいんだ、だが少し困ったこともある、個展を開くと彼女に会いたいという人が多いのだ、ロボトミー手術は去年人権問題で廃止されている、それをしただなんて言えば、彼女の写真を撮り続けられなくなる
「彼女はシャイなんだ」
そう言えば残念だと言いながら引き下がってくれる、シャイで可憐な美しい天使は民衆の中で神格化される。彼女を風呂に入れて髪をとかしながら話す。
「君はシャイな女神だと言われているよ、嬉しいね、エリー」
もちろん返事は帰ってこない、食事を口に運べば条件反射のように食べる、美味しいも不味いも言わないので身体にいいものしか食べさせていない、その美しさを少しでも長く持たせるためだ。
高い生け垣に囲まれた庭での散歩も欠かさない日に当たらなければ骨が痩せてしまうし歩かなければ筋肉が痩せてしまう。
彼女を常に最高の状態に保つのが僕の仕事だ、
雨の日は出窓に彼女を座らせる雨を見るような見ていないような、その瞳が美しくて儚くて僕はカメラで撮影する、あぁ僕の美しきドール、あのダンボールに埋まっていた君はやはり天から降ってきた天使だったのだろう、その心に悪魔が住み着いたから下界に落とされた哀れな天使、やっと本来の姿になれたんだね
そんな日々がいつまでも続くと思っていた。
「警察です、貴方は違法手術のロボトミー手術を闇医者にさせましたね」
「はて、なんのことか」
「通報があったんですよ、動画もある、窓辺に座る廃人のようなエリーさんと貴方に手を引かれなければ歩けないエリーさんの動画がね、闇医者も捕まって手術記録も出てきています」
なぜそんな物が、と思って居ると別の視線を感じるそれは最近近所に引っ越してきた。男、その手には8ミリフィルムのカメラを持っている。
こいつのせいか!
「入りますよ」
「え、待ってくれ!ちがう!彼女はもともと大人しい子で!」
警察はお構いなしに家に押し入る。
警察は彼女の意識調査をして憐れむ様な目を向けて僕を睨み彼女を連れて行った。もう一人の警察に手錠をかけられ僕は動けない
あぁ!エリー!僕のドール!返してくれ!僕の天使が!!!
それから僕は牢獄に入れられた。
エリー・・・僕のエリー・・・・・
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