死ぬまで消えない

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「迷惑だ」 こころから出た一言。 やっと終えた仕事の疲れを癒す晩酌を邪魔されたことにも、こんな方法で数年ぶりに再会させられたというのに目の前の人物がひどくご機嫌であることにも、その表情のすべてが月のせいであきらかなことにも、全部が我慢ならなかった。 「届くかなあと思ったら、届いてしまったの」 『屋上の縁に立って、自分でその足元を写真で撮って、エアドロップの共有先に俺の名前が現れたから、その胸糞悪い写真を送りつけてくる』という、こいつは救いようのない異常者だ。 もうほとんど宙の中にいるみたいに思えたその異常者は、こちらに背を向けてしばらく満月と対峙してから、ダンスのステップのような軽やかさでこちら側へとその身を戻した。
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