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月を背にして、歌うように宣言されたそれは、自分勝手で傲慢で残酷で優しい呪いだった。そしてもしかしたら、彼女が"自分自身の生死の与奪"を握るための、唯一の方法なのかもしれなかった。
最後の言葉が懇願のように聞こえて、もしかしたら彼女は泣いているのかもしれないと思った。
阿呆のように目を見開いて何も言えない俺をじっと見つめて、ゆっくりと小さく彼女は頷く。俺へかけた呪いの効果を、確信したかのように。
「ほんとうはずっと、君のことが代えがたく好きだった。いままで、ありがとう」
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