優等生の愛情

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私は多人数と話をするのが苦手だし、嫌いだ。 私という存在が消えてなくなったかのようになり、喋ったは喋ったで気まずすぎる空気ばかりを作ってしまう。 だから、誰にも迷惑をかけたくなくて話すのは二、三人ぐらいに狭めていた。 が、彼女の友達になれてからは多人数でも彼女のそばにいれればいいと思った。 なぜなら、心地よいから。 私はここにいるよってことが伝わらなくても、彼女は私を見ていてくれた。 私はそれが嬉しかった。 また、私はクラスメイト(赤の他人)に囲まれると、いつも作り笑いのような下手な笑顔しかできなかった。 それでも、十分だった。 でも、彼女と話して彼女に触れて彼女が笑っているのを見ると、私も笑えるのだ。 自然と口角が上がって、大口を開けて笑えるのだ。 でも、そうするとまた表情筋が痛くって、いつか無限に笑える日がくるといいと思えた。 もう、その頃から彼女に対する醜く穢れた愛が芽生え始めていたのかもしれない。
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