優等生の愛情

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わたしは昔から愛情に疎かった。 彼女に会うまでは——— 「おはよう平井さん」 「おはよう月野さん」 そうやってお互いで笑い合う。 ねえ、本当はあなたと話したい。 あなたと二人きりで話したい。 わたしの壊れた愛情は彼女を確実に揺れ動かしていたのだと思う。 わたしに向ける視線が多くなった。 わたしに話しかけるようになった。 とても笑うようになった。 家族のこと、身の回りのことを話してくれる。 ねえ、そんな変化にわたしがときめかないと思ってるの? その些細な変化にいち早く気づいて日記を取るようになるまでがチュートリアルだった。
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